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上司から嫌がらせを受けている
上司からの嫌がらせは、「パワハラ」と呼ばれる場合が多いです。昨今、パワハラを原因とする職場鬱や、自殺などの事件も発生しています。ここでは、パワハラにあっても泣き寝入りしないための、パワハラの意味と対処方法について解説します。
パワハラとは
パワハラ(パワーハラスメント)とは、職権などの優位にある権限を背景に、本来の業務を超え、継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い、就労環境を悪化させ、職場内に不必要な緊張感や雇用不安を与えることいいます。
上司の部下に対する注意や叱責は、業務を遂行する上で必要な程度で認められますが、人格を否定するような発言で継続して罵倒するような場合は、違法となり得ます。
パワハラの判断は、上司の行為が部下の人格権を侵害するか否か、社会的に相当と認められる限度を逸脱した行為であるか否かを、以下の3点を基準に総合的に判断されます。
- 上司の業務命令等が、業務上の必要性に基づいてなされたものか
- 業務命令等を行った上司に、不当な動機や目的があるといるか
- 業務命令等によって部下が受ける不利益が、一般的な程度を著しく超えているか
具体的には、「無能」「給料泥棒」など人格を否定する叱り方をしたり、他の社員もいる前で大声で何度も厳しく非難する、椅子を蹴ったり書類を投げつけるなど威圧的に振る舞う、実現不可能な業務ができないことを理由に叱るといった振舞いのほか、能力に応じた仕事を与えないとか、仕事以外の事柄を強要することなどが挙げられます。
パワハラと認められた場合のポイント
パワハラが認められると、当の上司だけでなく、会社も損害賠償責任を負う可能性があります。またパワハラによる自殺について、労災が認められた事例もあります。
通常、パワハラに対しては、5段階で対応することになります。
① パワハラの証拠化
一般的に認められる上司から部下への叱責等とパワハラを区別するために、パワハラが行われた経緯や態様、回数などを、録音やメモによって証拠化することが重要です。
② 弁護士を通じた警告
弁護士を通じて、パワハラ上司に内容証明郵便を送付し、パワハラ行為をやめるように申し入れを行います。
③ 弁護士を通じた会社への申し入れ
パワハラの内容によっては、弁護士を通じて、会社に適切な措置を講じるよう申し入れを行います。上司の行為がパワハラにあたるとされ、会社が法的責任を負う場合には、被害者に対し、使用者責任、又は職場環境を整備することを怠った契約上の責任を負う場合があります。
④ 法的手続(労働審判、仮処分、民事訴訟の申立て)
警告や申し入れでは解決できない場合は、裁判手続の利用が考えられますが、退職後に手続を行うのが一般的です。
⑤ 刑事告訴、労災申請など
パワハラの程度によっては、暴行罪、脅迫罪、名誉毀損罪等で告訴する対応も検討します。パワハラで精神障害にかかった場合には、労災申請も検討するとよいでしょう。